2013年11月26日火曜日

縦深戦術


縦深戦術はソ連軍によって生み出され、バグラチオン作戦などがその実施例として有名です。
歴史的経緯はwikiにでも譲るとして細かい戦術面に注目して語っていきたいと思います。


 
 
一番イメージ的にしっくり来る図が何故かベトナム語のものだったので一応説明すると赤がソ連
軍です(ベトナム語はわからんがそうでなきゃおかしい)。ただしこの図は縦深戦術の全貌ではなく
一部をミクロな視点で見たものです。実際のソ連軍の攻勢はこの光景が50-200kmに渡って南北に続いています。
 
 
①~④に段階分けして解説します
①砲兵部隊による敵防衛線の全範囲(後方の補給部隊、予備部隊に対しても)に向けた砲撃。この砲撃によって敵部隊の消耗と疲労をさそう。ある程度軍事を知っている読者ならソ連軍の砲撃というだけでどのくらいの規模かは把握できると思います。

②第一梯団による前線正面への攻撃。第一梯団の仕事は敵戦線に突破口を開くことであり作戦で決められた地点まで損害を顧みず(お察し)に突破することが求められました。

③突破によって疲労した第一梯団に変わり、待機していた第二梯団が突破口からさらに戦果拡大と敵の予備兵力の到着阻止を目的とした前進を開始。空軍からの敵予備兵力への爆撃や空挺部隊の投下による包囲などの支援を受ける。特にドイツ軍は突破を終えたソ連軍への機甲部隊による反撃こと「マンシュタインのバックハンドブロウ」という戦術を行うことがあるため来援した敵予備兵力を疲労していない第二梯団で叩くことは極めて重要でした。なおこの間に突破された敵軍の防衛線の部隊を後方の予備部隊、第一梯団が包囲を行います。

④この後さらに予備部隊による追撃や空挺部隊による敵の退路遮断などの作戦行動が行われる。

というのが縦深戦術の主な内容ですがよく考えてみてください。これ敵の何倍の兵力いるんだよ!結局物量によるゴリ押しじゃねーか、こんなのが戦術と言えるか!という意見を持った人もいるかもしれません。

でも歴史をみればこれは非常に革新的(革命的?)な戦術なんです。たとえばWWIのニヴェル攻勢では48万の独軍に大して仏軍は120万ほど動員して攻勢をかけたにもかかわらずついに突破できなかったようにWWIではついに防御側の有利が崩れることがなく、大規模な突破からの殲滅も起き得なかったのです。それが航空攻撃や機械化部隊の進歩によってついに可能になったわけですから極めて意義が大きいんです。

だったら電撃戦のほうが偉いんじゃねーのとも思いますが結局のところ電撃戦は機甲部隊の機動力をもって敵の指揮系統を麻痺させるのに主眼がおかれており敵野戦軍の殲滅にはつながらないため縦深戦術よりはどうしても戦果が劣ってしまうのです。それに何より縦深戦術は冷戦になっても使われ続けるため有効性はこちらに軍配が上がったとみてよいと思います。

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